カーボン紙でうまく転写できないときにSpeedy-Carveゴム版へ緻密な図案を転写する方法
グラファイト転写紙(カーボン紙)を使うと線がかすれたり、途切れたり、にじんだりする場合は、鉛筆の黒鉛を裏面に塗ったトレーシングペーパーを手で擦って版木に転写する方法を試してみてください。緻密なデザインの場合、この方法ならどの線を転写するかをコントロールしやすく、筆圧によって柔らかい表面に転写媒体が入り込みすぎて濃い跡がついてしまうのを防げます。また、印刷したてのインクジェットプリントや、慎重にテストした熱転写によるレーザープリントを使うこともできますが、プリンターがない場合は鉛筆でトレースするのが最も手軽な方法です。
カーボン紙でうまく転写できない理由
Speedy-Carveは柔らかく、ゴムのような弾力があります。Jackson’s Artでは、Speedy-CarveやSoftcutにカーボン紙を使用しないよう推奨しています。圧力をかけると素材にカーボンが移りすぎてしまい、転写が不正確になる恐れがあるためです。また、濃い転写紙を使用すると、細い線にどれだけの筆圧がかかっているかを判断しにくくなります。Jackson’s Artによる凸版印刷用素材の比較(英語)
別の方法に切り替える前に、まず黒鉛の面がゴム版側を向いているか、紙が動かないよう固定されているか、そしてトレースするペン先が紙越しにしっかりと当たっているかを確認してください。押し当てた後に版が凹んでいるように感じる場合は、力を緩めましょう。必要なのは彫るための目印(線)であり、溝ではありません。複雑な図柄の場合は、彫る前に仕上がりを確認・修正できるよう、薄くてもはっきりと読める程度に転写するのが理想的です。
プリンター不要で最も確実な方法:裏面に鉛筆を塗ったトレーシングペーパー
オリジナルの図案の上にトレーシングペーパーを置き、柔らかい鉛筆で必要な線をなぞります。すでにバラの用紙に描いてある場合は、その用紙を直接使えることもよくあります。その場合は、図案の線の裏側にあたる部分に鉛筆(黒鉛)を塗るだけです。Speedballの説明書では、図案の裏面を黒鉛で塗りつぶして版にトレースする方法が紹介されているほか、有志によるSpeedballブロックプリントのチュートリアルでも、裏面に柔らかい鉛筆を塗ってから図柄をSpeedy-Carveに擦り付ける方法が紹介されています。SpeedballのSpeedy-Carve説明書(英語)、Every-Tuesdayのハンドレタリング・ブロックプリントチュートリアル(英語)
細部まで綺麗に転写するには、トレーシングペーパーの裏面に2Bや4Bなどの柔らかい鉛筆を使用します。図案のある部分に均一に塗り広げてください。シート全体をやみくもに黒くするのではなく、線がある周辺だけに黒鉛を乗せるのがコツです。黒鉛を塗った面をゴム版に当てます。紙の端の1箇所をマスキングテープなどで作業台や版の余白に留めて蝶番(ヒンジ)のようにしておくと、なぞっている最中にズレるのを防げます。
元の線を、削ったHやHBなど硬めの細い鉛筆でしっかりとなぞります。硬い芯を使うことで、線が太くつぶれることなく細かなディテールをなぞりやすくなります。短いストロークで慎重に描き進め、トレーシングペーパーをめくるのは1つの区画を終えてからにしましょう。「裏に柔らかい鉛筆、表に硬い鉛筆」というアプローチは、Jackson’s ArtでもSpeedy-Carve向けに推奨されています。Jackson’s Art(英語)
エリアごとに転写し、彫る前に確認する
サイズが大きい図案や細密なデザインの場合は、固定していない紙を何度もめくったり位置を直したりするのは避けてください。テープで留めた蝶番を活用し、外枠、内側の特徴、文字、細かい模様といったように、1つのエリアずつ順番に転写していきます。転写の進み具合を確認するときは、固定されていない端からそっと紙を持ち上げます。もし薄い部分があれば、ぴったり同じ位置に戻してその部分だけをなぞり直してください。紙の位置がずれると、線が二重になったりブレたりする原因になります。
転写が完了したら、元の画像とゴム版を見比べます。細かな隙間、交差部分、文字、そして切り込みと見間違えやすい重要な輪郭線などを入念にチェックしてください。抜けている線がある場合のみ、端材で試し書きした鉛筆や細身のマーカーで描き足します。彫っている最中も転写したガイドが見えなくならないよう、ゴム版の表面は清潔で乾燥した状態を保ちましょう。
手元にある紙や道具に合わせて方法を選ぶ
原画またはトレーシングペーパー: 裏面に鉛筆を塗り、版に擦り付けて転写します。正確さが求められる場合や、プリンターがない環境にはこれが最適です。Speedballの説明書ではトレーシングペーパーの裏に黒鉛を塗る方法を推奨しているほか、同社のレッスンプランでは絵を下向きに置き、裏から爪やスプーンで擦る方法も紹介されています。後者は転写可能な画材で描かれている場合には有効ですが、複雑な図柄の場合は裏に鉛筆を塗ったシートを使う方がコントロールしやすいでしょう。Speedballの説明書(英語)、Speedballのブロックプリントレッスンプラン(英語)
印刷したてのインクジェットプリント: Speedballのレッスンプランでは、印刷したばかりのまだ乾いていないインクジェット画像をうつ伏せに置き、裏から爪やスプーンで擦る方法が記載されています。この方法はインクがまだ転写可能な状態であるかどうかに左右されるため、まずは小さな部分でテストしてください。乾燥していたり擦れてにじんでいたりすると、きれいな結果が得られない場合があります。プリンターが必要になりますが、複雑な図柄を丁寧に描き直す手間を省くことができます。Speedballのレッスンプラン(英語)
レーザープリントと熱: 版画のガイドブックの中には、アイロンを使って印刷画像を転写する方法を紹介しているものもありますが、温度や圧力の加減に試行錯誤が必要であるとも警告されています。手軽な裏ワザというよりは、事前のテストが必須な選択肢として捉えてください。端材や目立たない角で試し、温度は控えめに設定し、版の形状や質感が変化し始めたらすぐに中止してください。Tenkara Anglerのブロックプリント入門(英語)
版画は左右反転して刷られることを忘れずに
彫った凸版を刷ると、図柄は鏡像(左右反転)になります。文字や数字、向きが重要なモチーフなど、完成したプリントを正しい向きで読ませたい場合は、鉛筆転写を行う前に図案をあらかじめ左右反転させておく必要があります。Jackson’s Artでは、図柄を下向きにして版にトレースすることで自然と反転し、通常の向きで刷れるようになると説明されています。選択する画像転写の方法によって反転が必要かどうかが変わるため、彫り始める前に必ずゴム版上の向きを確認してください。Jackson’s Art(英語)
また、どの部分を残してインクを乗せ、どの部分を彫り落とすのかを決めておきましょう。印刷したい線や塗りつぶしの形状は通常、凸部として残す必要があり、その周囲の余白(ネガティブスペース)を削り取ります。細密な図案の場合は、転写した輪郭線だけで白黒の判断に迷わないよう、別の参照用コピーに彫るエリアをメモしたり斜線を引いておいたりすることをおすすめします。
彫る前の最終チェックリスト
彫刻刀を握る前に、重要な輪郭がはっきりと転写されているか、紙がズレていなかったか、文字や非対称の図柄が版の上で意図した向きになっているかを確認しましょう。細い隙間が彫ったときに識別できる十分な幅を持っているかもチェックします。狭すぎる場合は、この段階でゴム版上の線を簡略化したり間隔を広げたりしてください。特に黒鉛の線が重なっている部分や極めて細かいディテールがある部分は、元の図案を手元に置いて常に参照できるようにしておきます。
きれいに転写できても、それはあくまでガイドであり、すべての微細なディテールが彫りや印刷の工程をそのまま乗り切れる保証ではありません。柔らかい彫刻用素材では細部の表現が難しいことがあり、切り込みが非常に浅いとインクで埋まってしまうこともあります。本番の紙に印刷する前に、小さな試し刷り(テストプリント)を行うと、手直しが必要な部分を見極めることができます。Tenkara Angler(英語)
緻密な図案の多くは、裏面に黒鉛を塗ったトレーシングペーパーから始め、ズレないようしっかり固定し、軽めのコントロールされた筆圧でトレースするのが最も確実です。彫る前に向きや線の抜けがないかを確認してください。それでも十分なガイドが得られない場合は、テスト済みのプリント転写を試すか、修正が簡単なうちに極小のディテールをシンプルにアレンジしてみましょう。
参考資料
- Speedy-Carve Instructions — Speedball(英語)
- Block Printing Lesson Plan, Grades 6–8 — Speedball(英語)
- Linocut Printing: Softcut, Speedy Carve and Japanese Vinyl — Jackson’s Art(英語)
- How to Create a Hand Lettered Block Print — Every-Tuesday(英語)
- The World in Black & White: A Block Printing Primer — Tenkara Angler(英語)
