絵の初心者向けアーバンスケッチの始め方
絵を描くのが初めてなら、まずは小さな風景ひとつ、鉛筆かペンを1本、そして短時間で楽に座れる場所からアーバンスケッチを始めてみましょう。最初の目標は、いくつかの大きな形をページ内に収め、それらの位置関係を捉えることです。通り全体を描く必要も、色をつける必要もありません。明確な焦点(フォーカルポイント)となる景色をひとつ選び、薄く大まかにアタリをつけてから、特徴的なディテールを少し描き加えます。このガイドでは、場所選びから次に練習すべきことの決定まで、最初のスケッチを仕上げる手順を解説します。
良い「最初のアーバンスケッチ」とは?
有意義な最初のスケッチとは、選んだ景色の記録のことであり、すべてのディテールを完璧に再現できるかを試すテストではありません。店舗のファサード(店先)、バス停、一列に並んだ窓、外から見たカフェのテーブルなど、目に見えるモチーフをひとつ選びましょう。モチーフがどこにあるのかが分かる程度に周囲の風景も入れつつ、説明に役立たない細部は省略します。Urban Sketchersのチュートリアルでは、広い視野にするか狭いクローズアップにするかを決め、焦点の位置を定め、ページの端を意識することが推奨されています。Urban Sketching Tutorial: Starting a Sketch
最初のセッションの実用的な目標は、大まかな輪郭、奥行きを示す1〜2の手がかり、そしていくつかの特徴的なディテールを含むシンプルな絵を完成させることです。たとえば、角の小さなお店を描く場合、日よけ、出入口、側面の壁の角度を描けば十分で、レンガのひとつひとつや看板の文字まですべてを描く必要はおそらくありません。これは、その場所らしさを感じさせる要素に基づいて、何を描き何を描かないかを選択する練習です。
無理のない場所を選び、構図を決める
車や人通りの邪魔にならず、数分間快適に座ったり立ったりできる場所を見つけましょう。窓からの眺め、静かな通りの向かいにある建物、小さな木立の正面にあるベンチなど、どれも良い選択肢です。レディング大学のアーバンスケッチ教材では、快適に描ける場所を探し、手や厚紙のフレームを使って構図を検討することを提案しています。Urban Sketchers learning resource
描き始める前に、指で小さな四角を作り、ページに収まるくらい景色がシンプルに見えるまで動かしてみましょう。上下左右の端に何が触れているかを確認します。高い建物が不自然に切れてしまう場合は、フレームを動かすか、その建物のもっと小さな一部分を選びましょう。すべてが同じように重要に見えてしまう場合は、ひとつの特徴が明確な焦点になるまで近づいてトリミング(ズーム)します。
ページの隅や紙の切れ端に小さなサムネイル(下書き用の小スケッチ)を描き、主な形の配置を試してみましょう。サムネイルは完成した絵ではなく、手早くレイアウトを確認するためのものです。Urban Sketchingのチュートリアルでも、大きなスケッチを始める前に、小さなサムネイルでさまざまなアングルや配置を試すことが推奨されています。Urban Sketching Tutorial: Starting a Sketch
必要な画材だけを持っていく
最初の外出では、手元にある紙と描画ツールで十分です。小さなスケッチブックは持ちやすいですが、1枚の紙や普段のノートでも構いません。リズ・スティール氏(Liz Steel)の初心者向けガイドでは、道具をシンプルに保つことが推奨されており、手頃なA5サイズのスケッチブック、鉛筆、ミリペン(極細ペン)が実用的な選択肢として挙げられています。また、普通の画用紙は水彩のウォッシュ(絵の具を水で溶いて塗ること)には適していないとも指摘されています。How to Start Urban Sketching
以下のシンプルな組み合わせからひとつ選びましょう:
最初のスケッチに色は必要ありません。後で水彩を試したくなった場合は、水に耐えられる紙を使用してください。薄い画用紙は波打ったり、濡れたときに思わぬ挙動をすることがあります。まずは線画から始め、大きな影や目立つ看板を示すなど、明確な目的がある場合にのみ別の画材を追加してください。
細部を描く前に大きな形を捉える
まずは、景色の最も大きな部分同士を比較することから始めます。幅に対して建物の高さはどのくらいか、屋根のラインはどこにあるか、通りや前景がページのどのくらいの割合を占めているかを観察します。主役となるモチーフの上端と下端を薄く印をつけ、大まかな輪郭をスケッチします。周囲の形を描き加えるのは、メインのモチーフが収まってからにします。
建物を角から見る場合、3つの基本的な方向を探します。垂直の線、水平の屋根や窓の線、そして両側に後退していく(奥行きに向かう)線です。本格的な透視図法(パース)を構築しなくても、薄い鉛筆のガイドラインで主な角度を捉えることができます。クリーブランド美術館では、アイレベル(地平線・水平線)と消失点、そしてその点に向かって収束する後退線を用いて一点透視図法を解説しています。これは、通りや廊下が正面に向き合っている場合に特に役立ちます。Cleveland Museum of Art: Perspective
通りの真正面を見ている場合は、道路の端や建物の並びが地平線近くの1点に向かって集まっているように見えるか観察してみましょう。そう見えるなら、シンプルな一点透視の構造が役立ちます。目の高さに地平線を引き、通りが後退していく方向を特定し、遠ざかる線がおおむね一貫するように保ちます。シカゴ美術館のパースの概要では、地平線と消失点が平面上で後退する形状をどのように整理するかを解説しています。What Is Perspective?
すべての景色がきれいな一点透視のように収まるわけではありません。建物に対して斜めに立つと、その側面は異なる方向に後退することがあります。すべての線を無理に1点に集めようとせず、実際の屋根のライン、窓、歩道の向きをよく観察してください。手早く描くスケッチでは、複雑なグリッドを引くことよりも、大きな角度を合わせることの方が役立つ場合がよくあります。
場所を特徴づけるディテールを加える
大きな形がページにうまく収まったら、その景色を特徴づける細部をいくつか選びます。ストライプの日よけ、バルコニーの列、信号機、壁に重なる木などです。画材で強弱がつけられるなら、線の太さを使い分けてみましょう。メインの輪郭には少し強めの線を用い、二次的な要素には薄い線や短い線を引きます。すべての窓や葉っぱの輪郭を描く必要はありません。レディング大学の教材でも、草やレンガなどの質感をひとつひとつ描き込むのではなく、どのように「示唆」するかを考えるよう推奨しています。Urban Sketchers learning resource
実際の風景とページの間を交互に見比べましょう。目に見える距離同士を比較してプロポーション(比率)を確認します。たとえば、出入口の高さは壁の高さのおよそ3分の1か、それとも半分に近いか、といった具合です。これらは計算するものではなく、目で見て比較するものです。線がずれてしまっても、消さずにそのまま描き進めてください。余分な線も絵の一部として残しておいて構いません。大きな形から小さな形へと進めるこの手順は、Urban Sketchingチュートリアルでも推奨されています。Urban Sketching Tutorial: Starting a Sketch
最初のセッション用の短く再現しやすいルーティン
最初の外出では、次の流れを試してみてください。時間配分は計画の目安であり、厳密なルールではありません。必要ならもっと時間をかけても、景色や状況が変わった段階でやめても構いません。
この順序が重要なのは、バランスの崩れたレイアウトは細部を描き込んでも修正できないからです。時間が足りない場合は、大きな形といくつかの特徴的な印を描いたところで切り上げましょう。それでもそのページは、その景色の記録として十分に役立ちます。レディング大学の教材では場所と日付を書き留めることを勧めており、クリーブランド美術館では見え方の違いを比べるために、見慣れた場所で視点を変えて再訪することを提案しています。Urban Sketchers learning resource、Cleveland Museum of Art: Perspective
難しく感じたら、課題をシンプルにする
景色全体に圧倒されてしまうなら、スケールを小さくしましょう。出入口ひとつ、ベンチひとつ、あるいは2枚の壁が交わる角だけを描いてみます。建物が傾いて見えるなら、手元の紙自体が傾いていないか確認し、実際の風景の垂直な線と比較してください。絵がごちゃごちゃしてきたら、メインのモチーフと競合する背景の要素を省略します。
最初の一本を引くのをためらってしまうなら、モチーフの外枠を示す薄いガイドラインを数本引いてみましょう。レディング大学の教材では、ページ内に収め比率を把握しやすくするために、風景全体に薄くアタリをつけることを説明しています。Urban Sketchers learning resource。次に、描く輪郭をひとつ選び、それを隣の形へとつなげていきます。最初のセッションでは、すべての線を修正することではなく、観察し終えることに集中しましょう。
最初の1枚の後に練習すべきこと
見慣れた場所で、同じ小さなステップを繰り返してみましょう。別の日に違う構図を選んだり、違う場所に座ったりして、主要な形がどこに配置され、自分がどのディテールに気づいたかを比較します。クリーブランド美術館では、親しみのある風景を異なる位置から描いて結果を比べることを提案しています。これは視点の変化によって構図がどう変わるかを理解するのに役立つ方法です。Cleveland Museum of Art: Perspective
メモは手短にしておきます。場所、日付、使用した画材、そして次回意識して観察したいことを1点だけ書きます。「屋根の傾斜が思っていたより急だった」「看板の上のスペースを空けなさすぎた」といった内容で構いません。これにより、次の外出が明確な練習のステップになります。その特徴に注意して、もう一度挑戦してみましょう。慣れてきたら、人を単純な形として描いてみる、小さな範囲に色を塗ってみるなど、新しい課題を一度にひとつずつ追加していきます。
