テーブルがない場所で水彩パレットをセットアップする方法
椅子やベンチ、あるいは床のちょっとしたスペースで絵を描きたいときは、硬いボードやスケッチブックを中心にコンパクトな環境を整え、パレットや水、タオルが動かないようにしましょう。初めて試すなら、フタ付きのトラベルパレット、底の広い小さな水入れ、そして筆を持たない側の手ですぐ届く場所にクリップで留めたり挟んだりしたタオルを用意します。用紙は膝の上などの安定した土台に置き、パレットは別のボードの上か、用紙の横の膝の上、あるいは無理なく持てる場合のみ手に持ちます。絵の具をつける前に、水だけで配置を試してみましょう。
パレットを配置する前に下敷き(支持体)を選ぶ
パレットにはある程度水平な混色スペースが必要ですが、水彩紙自体にもしっかりとした硬い土台が必要です。ハードカバーのスケッチブックが最も手軽な選択肢です。膝の上で開き、表紙をそのまま下敷きとして使えます。バラの紙を使う場合は、軽量なボードにクリップやテープで固定しましょう。ある水彩画協会の野外制作(プレネール)チェックリストでも、硬い表面に紙をクリップやテープで留めることが推奨されており、基本用具としてパレット、水入れ、ペーパータオルが挙げられています。Brevard Watercolor Society: Plein Air
ボードがない場合は、硬いクリップボードや清潔なプラスチック製まな板、しっかりとした膝上デスク(ラップデスク)でも代用できます。平らな面があり、紙を置くのに十分な面積があり、紙を引っ掛けない縁になっているものが適しています。片方の膝の上でバランスを取るのではなく、両太ももの上に土台を乗せてください。体を動かしたときにグラつくなら、紙のサイズを小さくするか、より安定した座席に移動しましょう。バラの紙にはクリップやテープが必要ですが、水彩紙ブロックやスケッチブックなら、すでに一辺または複数辺が固定されています。
「紙を支える土台」と「パレットを置く土台」は別物として考えましょう。同じボードにパレットを乗せると持ち運びは楽になりますが、作業スペースが狭くなり、絵の上に水をこぼしてしまうリスクも高まります。手軽なスケッチなら、大きめのボードにまとめるよりも、スケッチブックの横に小さなパレットを置く方が扱いやすいのが一般的です。
動かないパレットを選ぶ
コンパクトな折りたたみ式パレットやフタ付きの絵の具缶は実用的な選択肢です。絵の具パンが中に収まり、開いたフタをそのまま混色スペースとして使えるからです。しっかり開くか、指を挟むように勝手に閉じたりせず平らに置けるかを確認してください。パレットの底がつるつるしている場合は、折りたたんだ布やゴムマットの上に置くと滑りにくくなります。傾いた太ももの上で容器のバランスを取るような置き方は避けましょう。
軽量なボードを使って小さなパレットを固定することもできます。アーティストのジェニー・ケシンガー(Jennie Kessinger)氏は、プラダン(プラスチック段ボール)の端材に目玉クリップでパレットを留め、小さな水差しと、下側に挟んだタオルやティッシュを組み合わせた携帯用の工夫を紹介しています。この例は、テーブルがない場所でスケッチする際にパレットと水を近くに保つ良い方法の一つです。手持ちの画材に合わせてサイズや素材を工夫してみてください。Jennie Kessinger: New Portable Watercolor Palette
道具を買い足さずに済ませたいなら、白くて小さなプラスチックのフタや浅いお皿を混色スペースとして使うこともできますが、ボードの上や紙の横の膝の上にしっかり安定して置ける場合に限ります。陶器の皿は平らな混色スペースとして優秀ですが、重さがあり角も硬いため、バランスを取るのが難しくなることがあります。筆を取ろうとしたときに動いてしまうようなら、フタ付きの小さなパレットに変えるか、ボードにしっかり固定しましょう。信頼できるパレットとは、ずっと手で握っていなくても、置いたまま安心して描けるパレットのことです。
無理なく手が届く範囲に道具を配置する
絵を描くための土台を膝の正面に置きます。パレットは利き手側に置き、濡れた紙の上に乗り出さなくても届く距離に配置しましょう。水入れはパレットのすぐ奥か、倒しにくい位置であれば筆を持たない側の手の近くに置きます。濡れた絵の具の上を袖や筆、手が通らないよう、紙の奥側には物を置かないようにしましょう。
具体的な配置は、どちらの手で筆を持つか、そしてどのように座るかによって異なります。レニー・ウォルデン(Renee Walden)氏の水彩セッティングでは、よく使うアイテムを手の届く範囲に置き、絵の具を含んだ筆が作品の上を横切らないように配置することを推奨しています。同ページでは右利きの場合、パレットと水を右側に置き、左利きの場合はその配置を左右反転させるよう提案しています。Renee Walden: Watercolour Materials and Studio Setup 膝の上で作業する場合、これは絶対的なルールではなく出発点と考えてください。図解の通りにすることよりも、自分の姿勢や土台の安定性の方が重要です。
筆を持たない側の手ですぐ届く場所に、折りたたんだペーパータオルか小さな布を置いておきます。筆を洗った後に余分な水分を拭き取ったり、垂れた絵の具を拭いたり、試し塗りをしたりするのに使います。タオルを敷いたせいで水入れがグラつく恐れがある場合は、水入れの下には敷かないようにしてください。ストロークの合間には、濡れた筆が紙の上に転がってしまわないよう、タオルやボードの上に水平に置きましょう。
水は低い位置に、こぼれない工夫を
テーブルがない環境で最もこぼしやすいのが「水」です。底が広く倒れにくい小さなカップや瓶を選び、水は少なめに入れます。座って描く場合は、不安定な膝の上ではなく、ボードの水平な部分か、椅子の横の地面に置きましょう。ダニエル・スミス(Daniel Smith)の初心者向け画材ガイドでも、倒れにくい水入れを推奨し、最初のすすぎ用とキレイな水用で容器を分ける方法を紹介しています。DANIEL SMITH: Watercolor for Beginners
容器を2つ用意すると、すすぎ用の水と混色用のキレイな水を分けやすくなりますが、その分重くなり場所も取ります。短時間のスケッチなら、まずは小さな容器1つから始め、目に見えて濁ってきたら水を取り替えるようにしましょう。2つ持参する場合は、それぞれ小さくて安定した容器を選び、紙の上に転がったり倒れたりしない場所に置いてください。水筆(ウォーターブラシ)を使えば水入れの必要性を減らせますが、それでも穂先を拭う布や、混色用の少量のキレイな水は必要です。
飲み物は、筆洗用の水とは別の場所に置いてください。こうすることで、制作に集中しているときに両者を誤飲・誤用するのを防げます。描き始める前に、カップが平らに置かれているか、腕が紙の上を横切らずに筆が水に届くかを確認しましょう。
5分でできるセットアップ手順
まず、実際に描く姿勢で座り、紙を固定した土台を膝の上に置きます。筆を持つ手を上げ下げしても紙がぐらつかないよう、姿勢と土台の位置を調整してください。バラの紙が動く場合は、水をつける前にクリップやテープでしっかり固定します。
次に、利き手側の紙の横にパレットを置きます。手の届く範囲にタオルを置き、紙から離れた水平な場所に水入れをセットします。使う予定の筆と絵の具だけを並べましょう。膝の上が物でいっぱいになると、少数精鋭で揃えたときよりもコントロールが難しくなります。
描き始める前にリハーサル(ドライラン)をしてみましょう。各色に筆を伸ばし、水につける動作をして、タオルで拭き、筆を元の位置に戻してみます。次に、キレイな水を使って実際に試します。筆を軽く濡らし、水からパレットへと動かしてみて、手が紙の上を通っていないか、パレットがずれたりしないかをチェックします。まだ周囲が汚れていないうちに配置を修正しておきましょう。このちょっとした確認は、頑丈な野外制作装備と同じ実用的な原則に基づいています。つまり、「使用中に道具がしっかり固定されていること」です。たとえば、アーティストのポール・ジャクソン(Paul Jackson)氏の野外水彩セッティングでは、丈夫なボードを使い、パレットが落ちないように面ファスナー(マジックテープ)で固定しています。Paul Jackson: Plein Air Setup
場所に合わせてセットアップを調整する
ベンチに座る場合、座面が狭ければ紙は膝の上に置き、水入れは足元の平らな地面に置きます。床に座る場合は、脚の上にボードを乗せ、道具は横に置いた低い箱などのしっかりした台の上に配置します。屋外の場合は、直射日光が紙や絵の具に当たらない場所を選びましょう。ブレバード水彩画協会もこれをプレネール制作の留意点として挙げており、制作環境において快適さを保つことの重要性を説いています。Brevard Watercolor Society: Plein Air
立った状態で描く場合は、片手で開いたパレットと水入れを持ちながら、もう片方の手で描こうとしてはいけません。紙を支えるボードやコンパクトなイーゼルを使い、パレットをそこに固定するか、安定して持てる手で持ちましょう。ポール・ジャクソン氏が紹介している、パレット取り付け部やカップホルダーが付いた特製の野外用ボードは、より本格的な一例です。容器を固定することの価値を示していますが、手軽なスケッチならシンプルな膝上ボードでも十分です。Paul Jackson: Plein Air Setup
最初のウォッシュ(塗り)の前にトラブルシューティング
パレットが滑る場合は、下に滑り止めシートを敷くか、より広くて平らなボードの上に移動させます。水入れがグラつくなら、より底の広い容器を使うか、水の量を減らすか、地面に置きましょう。水に手を伸ばすときに作品の上に乗り出してしまう場合は、描き始める前に位置を調整してください。膝の上が狭く感じるなら、道具を紙の周りに積み上げるのではなく、使わない道具を片付けましょう。
テーブルのない環境での制作には限界があります。小さなスケッチ、短時間の制作、あるいはコンパクトな画材セットで行うのが最も適しています。大きなサイズの紙、複数の水入れ、広範囲のウォッシュには、より安定した土台と広い作業スペースが必要です。水彩画協会が推奨する用具には、椅子、硬い作業面、パレット、水、ペーパータオルが含まれており、これらは制作の規模に合わせて調整できます。Brevard Watercolor Society: Plein Air
最もシンプルで頼りになる配置は、しっかり固定されたスケッチブックまたは紙、利き手側の小さなパレット、安定した水入れ1つ、そして手の届くところにあるタオルです。道具を配置し、キレイな水ですべての動作を確認した上で、紙とパレットの両方が安定していることを確かめてから描き始めましょう。
