ストーリーゲームでおとなしいプレイヤーが活躍できる場の作り方
おとなしいプレイヤーでも、長い手番を取ったり大演説を打ったりすることなく物語を動かすことができます。ゲームの進行役(ファシリテーター)として、選択をする、ディテールを付け加える、具体的な行動を取る、あるいはキャラクターを通して発言する機会を、任意参加の形でわかりやすく提示しましょう。目指すのは、プレイヤーに合った形で有意義に関わってもらうことであり、発言時間を均等にすることや無理にスポットライトを当てることではありません。次回のセッションですぐに使える具体的なアプローチをご紹介します。
どんな参加の仕方が心地よいか尋ねる
セッションを始める前に、必要であれば個人的に手短に確認してみましょう。「作戦を立てる、行動を描写する、キャラクターになりきって話すなど、どんな場面が好きですか? 時々こちらから話を振ったほうがいいですか、それとも自分のタイミングで入れるようにしておいたほうがいいですか?」と尋ねてみてください。プレイヤーによっては、聞き役に回りたい、ちょっとした判断で関わりたい、あるいは時々大きめのシーンを担当したいなど、好みは様々です。その回答はあくまで指針として受け止め、「合図に合わせて発言する約束」とは捉えないようにしましょう。
無理なくパスできる方法を共有しておきましょう。「自然なタイミングで声をかけるけれど、いつでも『パス』して大丈夫だからね」と伝えておくのも一案です。プレイヤーが実際にパスした場合は、理由を尋ねずにそのまま受け入れます。ゲームはそのまま進行できますし、後でまた別の形で声をかければよいのです。事前の確認は、ファシリテーションのやり方に反映させてこそ意味があります。プレイヤーが伝えてくれた希望を無視した声かけは、もはやお誘いとは言えません。
スポットライトを強要せず、具体的な選択肢を提示する
「どうしますか?」といった大まかな問いかけは、シーンの展開パターンが無数にある場合、答えづらいことがあります。現在の状況を明確にした上で、他のアイデアを出す余地を残しつつ、2〜3個の明確な選択肢を提示しましょう。「資料室の扉が開きません。鍵を調べますか、別の入り口を探しますか、それとも何か別のことを試してみますか?」といった具合です。プレイヤーは選択しても、提案をアレンジしても、パスしても構いません。これは『Fate Core』のシーン進行ガイドを実践的に応用したものです。そこでは、シーンの目標を明確にし、プレイヤーが何を達成したいかを言葉にできるよう問いかけることが推奨されています。『Fate Core: Defining Scenes』
選択肢は本当に異なるものを用意しましょう。どの道を選んでも他のプレイヤーのまったく同じ行動につながるようであれば、おとなしいプレイヤーに単なる「雑用」を押し付けただけになってしまいます。例えば架空の灯台の場面なら、あるキャラクターは灯台守に質問し、別のキャラクターは嵐よけの雨戸を点検し、もう一人は信号レンズを調べるかもしれません。それぞれの行動から異なる手がかりが得られたり、パーティーの次の判断に影響を与えたりします。結果はゲームのルールとそれまでに確定した設定に沿うべきであり、特定の選択肢が必ず成功すると約束してはいけません。
共有シーンの中で役立つ役割を提案する
存在感を示すために、そのプレイヤーだけの単独シーンが必要なわけではありません。地図の記録、時間の把握、目撃者への聞き取り、シンボルの特定、どの手がかりを追うかの決定など、次に起きることに影響を与えうる具体的な役目を各キャラクターに与えましょう。パーティー全体に関わる選択をする際には、まだ意見を言っていないプレイヤーに「どの手がかりを最初に追うべきでしょうか? あなたのキャラクターがそれを選ぶ理由は何ですか?」と尋ねてみてください。そして、その問いかけをテストのように扱うのではなく、出た答えについてパーティー全体で話し合うようにします。
そのプレイヤーがすでに出してくれたキャラクター設定を活用しましょう。『Fate Core』では、キャラクターに関連する分野の専門家としてプレイヤーに意見を求めたり、世界のディテールを肉付けする手助けをしてもらったりすることが提案されています。自作のミステリーなら、古い天文台の近くで育ったキャラクターに、地元の人がそこについて何と噂しているかを尋ねてみるとよいでしょう。単にアイデアを求めているのか、ルールに基づいた判定を求めているのかははっきりさせておきます。考え出したディテールが、他のプレイヤーが確立した決定権やゲームの制約を勝手に上書きしてしまわないように注意してください。『Fate Core: Running the Game』
長いセリフがなくても参加できるようにする
一言のセリフ、行動の宣言、質問、投票、ディテールを1つ描写するなど、短い形での参加を認めましょう。例えば、一行が市場に着いたとき、「あなたのキャラクターが最初に目を留めたものは何ですか?」と尋ねます。プレイヤーが「青いリボン」と答えたら、そのリボンを配達人の鞄につけることで物語に意味を持たせることができます。そうした小さな選択が、長い演技を求められることなく、共有された物語の一部になります。
考える時間を与えましょう。質問を投げかけたら、テーブル全体で少し間を取り、ファシリテーターがすぐに自分で答えてしまわないようにします。プレイヤーが迷っているようなら、「衛兵に堂々と近づきますか、それとも別の侵入経路を探しますか?」のように選択肢を絞り込んであげてください。交渉や会話のシーンがあるゲームでも、対話だけが参加の方法ではないことを忘れてはいけません。『D&D』の社会的相互作用(ソーシャル・インタラクション)に関する解説では、プレイヤーがキャラクターのセリフを直接決めることができると述べる一方で、そうしたやり取りも探索やその他のプレイの一部であるとしています。すべてのセリフを演じきらなくても、行動を選ぶことは可能です。『D&D Beyond: Changing Your Game with Social Interactions in Dungeons & Dragons』
順番を機械的なものにせず発言時間を分け合う
誰が判断を下してきたかに目を配り、現在のシーンが終わる前に、他の人が自然に入り込めるきっかけを作りましょう。「操縦士の計画はわかりました。ミラ、あなたの地図製作者はこのルートについて何に気づきましたか?」といった具合です。これは、全員に厳格な順番で発言を強制することとは異なります。グループが望むなら固定の順番も役立ちますが、テンポの良いシーンを遮ってしまったり、短い返答をすることすら「演技の義務」のように感じさせてしまったりすることがあります。
特定のプレイヤーが真っ先に答えがちな場合は、他の人の発言機会を確保できるよう協力してもらいましょう。「計画を決める前に、まだ意見を出していない人の考えも聞いてみよう」と声をかけるのです。『D&D Beyond』のプレイヤー向けガイダンスでも、他の人以上にスポットライトを浴びすぎていないか配慮し、他のキャラクターがどう思っているか尋ねてみるとよいという関連した指摘がなされています。これは卓を囲む上での有益な習慣であり、おとなしいプレイヤーにグループ全体の管理責任を負わせるようなルールではありません。『D&D Beyond: New Player’s Guide—Developing a Character』
プレイヤーの希望を次回セッションに反映する
セッションの最後に、任意参加の手短な振り返りを試してみましょう。各自が楽しかった場面を1つと、今後のセッションで見たい展開を1つ挙げてもらいます。The Gauntletの「Stars and Wishes(星と願い)」というツールはこの構造を採用しており、プレイヤーは人物・瞬間・ゲームの要素に対して「スター(星)」を贈り、後で見たいものに対して「ウィッシュ(願い)」を伝えます。これをグループのスタイルに合わせて調整し、パスも認めた上で、「ぜんまい仕掛けの鳥についてもっと知りたい」といった具体的なウィッシュをシーン作りに活用できます。『The Gauntlet: Stars and Wishes』
ウィッシュは契約ではなく、手がかりとして扱いましょう。すべてのアイデアを盛り込む時間がグループにない場合もありますし、一部の願いは合意されたゲームの方向性に合わないこともあります。もしプレイヤーが2人のキャラクターによる静かな会話を希望した場合、次のセッションの冒頭にそうした会話ができる短い移動シーンを設け、キャラクターたちが結論を出したら次の場面へ進めるとよいでしょう。『Fate Core』のシーンガイダンスでは、シーンを目標と重要な出来事の観点から説明しており、ファシリテーターがその開始と終了を管理することになっています。そうすることで、個人的な場面を冒険全体の共有ストーリーと結びつけやすくなります。『Fate Core: Defining Scenes』
手応えがなかったら誘い方を調整する
直接声をかけても断られたり、後で参加する方を好んだり、あるいはこれ以上注目を浴びなくてもセッションを楽しんでいたりすることがあります。おとなしいというだけで問題視してはいけません。そうではなく、プレイ終了後に「シーンへの誘い方はやりやすかったですか? もっと頻繁に声をかけてほしい、減らしてほしい、あるいは別の形のほうがいいなどありますか?」と中立的に尋ねてみてください。その回答をもとにアプローチを変えましょう。直接的な問いかけを減らしてほしいようなら余白を多く取り、サポートを求めているようなら関連する選択肢を事前につ用意しておきます。
問いかけは実際の決断に結びつけておきましょう。ストーリーに何の影響も与えない形式的な質問は、単なるお飾りに感じられることがあります。また、問いかけが多すぎるとゲームのテンポが落ちてしまいます。尋ねる前に、その回答によって何が変わるのか(一行の進路、手がかりの解釈、誰が行動するか、どのような設定が事実になるかなど)を決めておきましょう。そのプレイヤーにとって意味のある選択がない場合は、シーンをそのまま進め、後でより良い機会を作りましょう。
次回のゲームに向けたシンプルな計画
セッション前に、おとなしいプレイヤーのキャラクターが明確で状況に合った選択肢を持てる場面を1つ決めておきます。もっともらしい答えが複数ある具体的な質問を用意し、プレイヤー自身のアイデアを出せる余地や、パスできる余地を残しておきましょう。セッション中は考える時間を与え、その貢献を共有ストーリーに反映させつつ、その選択がゲームの許容量を超えて重荷になりすぎないようにします。終了後、そのような声かけが合っていたかどうかを尋ねてください。うまくいったことは続け、合わなかったことは改善しましょう。
おとなしいプレイヤーに活躍の場を作ることは、ファシリテーションのひとつの実践です。選択肢を分かりやすく提示し、辞退する余地を残し、それぞれの貢献がゲーム内の物語において意味を持つようにすることです。短い気づき、具体的な行動、あるいはたった一つの決断であっても、長い演説と同じように物語をしっかりと動かすことができるのです。
