ダンジョンマップ全体を見せずに未探索エリアを公開する方法
ダンジョンマップを1部屋ずつ公開するには、プレイ前にマップ全体を覆い、キャラクターが現在見通せる場所、または探索済みの空間のみを順次オープンにしていきます。多くのグループにとって、手動で操作する「戦場の霧(フォグ・オブ・ウォー)」レイヤーが最もシンプルな方法です。印刷された紙のマップ、共有画面、バーチャル卓(VTT)のいずれでも機能し、いつ何を公開するかの判断をゲームマスターの手元に残すことができます。
プレイスタイルに合った公開方法を選ぶ
対面でのセッションの場合、マップ全体を用紙の下に隠す、剥がせるカバーを使う、またはパーティーの移動に合わせて部屋サイズのタイルを組み合わせていくといった方法があります。これらの方法は運用が簡単ですが、プレイヤーがカバーの下や隙間から覗き見できないような工夫が必要です。モニターやプロジェクターを使えばマップが見やすくなりますが、未探索エリアを隠すための別手段が依然として必要になります。
バーチャル卓(VTT)の場合は、表示する範囲を正確にコントロールしたいときに手動フォグや表示/非表示(Hide/Reveal)ツールを使用します。これらのツールを使えば、マップの各区画を手動でオープンにできます。一方、ダイナミックライティング(動的照明)システムは、トークンの視覚、光源、壁の境界を利用してキャラクターが見通せる範囲を自動判定します。視界が頻繁に変化する場合には便利ですが、壁や光源の正確な設定が必要です。Foundryでは、霧の探索が壁や照明と連動して視認性を決定する仕組みとして説明されています。Roll20のダイナミックライティングヘルプセンターには、独立したツールとして「Hide / Reveal Mask」が記載されています。Foundry Virtual Tabletop: Lighting、Roll20 Help Center: Dynamic Lighting
初めて導入する場合は、すべての射線を追跡することよりも劇的かつ計画的なマップ公開を主目的とするなら、手動フォグをおすすめします。キャラクターの移動に合わせて視界がリアルタイムに更新されることを重視し、シーンのセットアップに手間をかけられるグループなら、自動ライティングを選びましょう。両者の連携の挙動を事前にテストしていない限り、セッションの途中で方式を切り替えるのは避けてください。
プレイヤーが集まる前にマップを準備する
プレイ本番で使用する縮尺と向きでマップを配置します。グリッドがある場合は、覆う前にテーブルトップ側のグリッドと正確に位置を合わせてください。ズレがあると、トークンの移動や公開範囲の境界がわかりにくくなります。
開始地点の外側にある側室、隠し部屋、廊下などを含め、プレイ可能なエリア全体を覆います。デジタルマップでは、端の隙間や塗り重ねたフォグの継ぎ目に注意してください。物理的なマップの場合は、プレイヤーの席から見えてしまう角度がないか確認します。
覆いが何を意味するのかを決めます。全く未知の場所であれば、完全に隠れたマップが適しています。キャラクターが大まかな見取り図を持っているなら、詳細なマップを直接見せるのではなく、プレイヤーが描いたスケッチなどとして別枠で提示しましょう。GM用のメモ、エンカウントのマーカー、秘密のラベルなどは、プレイヤーに見えるレイヤーには配置しないでください。
プレイヤー視点での見え方をテストします。ツールにプレビュー機能がある場合はそれを活用し、なければプレイヤー用のアカウントや席から表示を確認します。RPG Sessionsのドキュメントでは、プレイ前にプレイ可能エリア全体を覆い、「Player Preview」で確認することが推奨されています。どのプラットフォームでも原則は同じです。GMの画面では霧越しに下層のマップが透けて見えている場合があります。RPG Sessions: Fog of War
まず扉口を見せ、次いでその先を公開する
キャラクターが閉じた扉に到達したら、その扉の前までを公開して一旦止めます。扉が開いたら、開口部から見える範囲をオープンにし、キャラクターが中に入るか立ち位置を変えるにつれて公開範囲を広げます。遮蔽物のない標準的な部屋であれば、マス目を1つずつなぞるよりも、部屋全体を一度に公開したほうがスムーズです。曲がりくねった通路や半開きの扉、柱で遮られた部屋などの場合は、実際の視線に沿って細長い形状で公開します。
実践的な進行リズムとしては、「境界線(敷居)で移動を止め、見えている光景を描写し、そのエリアを公開して、プレイヤーに行動を決めさせる」という流れが有効です。これにより、マップの操作がゲーム内の描写を追い越してしまうのを防げます。また、キャラクターがすでに目にした場所を再び隠すことなく、隠し収納や廊下の曲がり角の先にあるスペースを伏せたままにしておく余裕も生まれます。
開けた空間には大きなブラシを、扉口や角、変形した境界線付近には細かいブラシを使い分けましょう。RPG Sessionsでは、エリアを覆う際に「大ブラシの後に小ブラシを使う」手法が解説されていますが、公開時にもこのブラシサイズの使い分けが役立ちます。ツールによっては多角形(ポリゴン)での公開やグリッドへのスナップが可能なものもあります。マップが見やすくなる場面ではそれらを活用すべきですが、シンプルな部屋形状の公開で十分な場合は、すべての壁の輪郭を細かくトレースすることに時間を費やす必要はありません。RPG Sessions: Fog of War
「探索」「視界」「記憶」を切り離して考える
マップが公開された状態には、「パーティーがここに来たことがある」という意味と「パーティーが今ここを見えている」という意味の2通りがあり、これらはルール上異なります。手動フォグを使用する場合、パーティーが立ち去った後も以前オープンにした部屋を表示したままにするかどうかを決めておきます。表示したままにするなら共有マップは「探索記録」となり、そうでないなら視界から外れた空間を再び覆う必要があります。特にプレイヤーが表示されたマップを頼りに移動する場合は、最初の公開を行う前にどちらのルールで進めるかを伝えておきましょう。
自動視覚ツールでは、現在の照明や射線とは別に、探索済みエリアの記録を保持できる場合があります。たとえばFoundryの照明コントロールには、リセット可能な戦場の霧(フォグ・オブ・ウォー)の探索記録が含まれており、視界は設定された壁や照明にも依存します。そのため、設定に誤りがあると情報が見えすぎたり、意図せず隠れたままになったりすることがあります。自動視覚を使用する場合は、セッション本番で頼る前に、テスト用のシーンで壁の配置、トークンの視覚、光源をしっかり確認しておきましょう。Foundry Virtual Tabletop: Lighting
意図しない露出や隠し忘れを防ぐ
プレイ前にプレイヤー視点を確認し、よくある3つの情報漏えいがないかチェックします。「マップ端の隠し忘れ」「壁をはみ出した公開ブラシの跡」「フォグの外側にある可視レイヤーに置かれたテキストやトークン」です。利用中のプラットフォームで覆われたアセットを選択・操作できる場合は、その挙動も確認してください。背景とトークンをまとめて覆うツールもあれば、レイヤーごとに異なる処理をするツールもあります。
プレイ中に意図しない公開に気づいた場合は、速やかに修正してください。手動フォグツールには通常、エリアを再び隠す機能が備わっていますが、具体的な操作方法はプラットフォームによって異なります。Roll20の旧Wikiでは静的フォグは手動で公開/非表示を切り替えると説明されており、現在のヘルプセンターでは「Hide / Reveal Mask」がツールの1つとして挙げられています。古いショートカットや表記を過信せず、現在使用しているバージョンで実際の操作感を試しておきましょう。Roll20 Help Center: Dynamic Lighting、Roll20 Wiki: Fog of War
もしプレイヤーが隠し部屋を一瞬でも誤って見てしまった場合、再び覆うことはできても、すでにプレイヤーの記憶に残ってしまっている可能性があります。より確実な安全策は、秘密の注釈やエンカウント情報をフォグの陰に置くだけでなく、最初から「GM専用レイヤー」に配置しておくことです。フォグは視覚表現の補助ツールであり、非公開にすべき情報を守る唯一の防壁ではないと考えておきましょう。
無理なく維持できる詳細度を選ぶ
スピードと共通認識のわかりやすさを最優先する場合は、部屋単位での公開を活用します。曲がり角や扉、分岐路が視界に影響を与える場合は、廊下を区画ごとに公開します。キャラクターの位置や光源の管理が重要で、入念な設定の手間に見合う場合は、自動ライティングを採用しましょう。物理的なマップの場合は、敷居のところでカバーをめくるか移動させ、不規則な形状に備えて予備の紙やタイルを手元に用意しておきます。
最適な手法とは、セッションを進行しながら安定して運用し続けられる方法です。マップ全体を覆い、プレイヤー視点を確認し、公開済みのエリアを表示したままにするか合意を形成した上で、キャラクターが現在知覚できる範囲、またはすでに探索した場所だけを公開していくこと。この手順を徹底すれば、未探索の部屋を隠しつつ、進行に役立つマップを維持することができます。
参考資料
Foundry Virtual Tabletop, “Lighting” — https://foundryvtt.com/article/lighting/
Roll20 Help Center, “Dynamic Lighting” — https://help.roll20.net/hc/en-us/categories/360003712734-Dynamic-Lighting
RPG Sessions, “Fog of War” — https://rpgsessions.com/docs/maps/features/fog-of-war
Roll20 Wiki, “Fog of War” — https://wiki.roll20.net/Fog_of_War
