プレイテスターが誤解し続ける手がかりを書き直す方法
プレイテスターが手がかりを繰り返し読み違える場合は、まず彼らが実際に導き出した結論と、そう判断するに至った言葉や詳細を特定します。その上で、単に文章を整えるだけでなく手がかりが放つ「シグナル」そのものを変更しましょう。意図した推論を裏付けやすくし、冒険のトーンを維持しながら、前後の文脈の中で修正案をテストします。目指すべきは、プレイヤーが解釈して行動に移すことができ、同時に多様な推理やルートの余地を残す手がかりです。
手がかりの「役割」と「文言」を切り分ける
その手がかりがプレイヤーを導くはずの結論を、簡潔な一文で書き出してみましょう。例えば、「古い鐘楼が待ち合わせ場所である」といった具合です。次に、プレイテスターが代わりに下した結論と、その後に取った行動を記録します。ある卓では、鐘の割れた音が危険な建物を指している、警告の合図である、あるいは特定の時刻を示していると捉えるかもしれません。そうした読み取り方は、その手がかりが何を伝えてしまっているかを示す有用な証拠であり、プレイヤーの注意力が散漫だったことの証拠ではありません。
必須の推論と、任意の解釈を区別してください。パーティが次にどこへ向かうべきかを知るだけでよいのであれば、誰がなぜその会合を手配したのかまで知る必要はないかもしれません。その手がかりが犯人を特定することなく疑惑を抱かせるためのものであるなら、犯人を直接名指しするように書き直すのは別の問題を解決することになってしまいます。The Alexandrianの「3つの手がかりのルール(Three Clue Rule)」は、キャラクターがたどり着くべき結論を中心に組み立てられています。手がかりは結論への複数の道筋を提供することができ、その冗長性によって証拠の見落としや誤認を許容します(Node-Based Scenario Design Part 2: Inverting the Three Clue Rule)。
解決策を提案する前に、起きたことを記録する
セッション後は、思い出せる限り正確なプレイヤーの発言、彼らが見た手がかりのバージョン、そして彼らが取った行動を記録してください。「観察事実」と「その理由の説明(解釈)」は分けて管理しましょう。「塔の中で隠された鐘を探すのに10分費やした」は観察事実であり、「手がかりが曖昧すぎた」は診断(解釈)です。診断自体は合っているかもしれませんが、両者を区別しておくことで、直感に頼って修正するのではなく検証を行う助けになります。
フォローアップの質問が必要な場合は、「この詳細をどういう意味だと思いましたか?」や「何がきっかけで塔が重要そうだと思いましたか?」といったオープンな問いかけを使いましょう。質問の中に意図した答えを含めないようにしてください。モデレーター付きのゲームプレイテストに関するガイダンスでは、混乱の要因を探るために誘導尋問にならないオープンクエスチョンを推奨しており、プレイヤー自身も混乱の原因を最初からうまく説明できるとは限らないと指摘しています(Asking the Right Questions: Moderating a Great Usability Playtest)。
誤読の原因を突き止める
文言を変更する前に、手がかりを以下の4つの起こりやすい原因と照らし合わせて確認してください。
参照の曖昧さ: 代名詞、肩書、シンボル、語句などが、複数の人物や場所を指す可能性がある。指示対象を名指しするか、固有の特徴を付与する。
関連性の弱さ: 手がかりは事実を述べているものの、その事実を目的の場所や行動に結びつける理由がプレイヤーにない。その繋がりが作中設定に即しているなら、一致する紋章や繰り返されるフレーズなど、具体的なリンクを追加する。
シグナルの競合: 生々しい脅威、珍しいアイテム、物理的な障害物などが、本来の手がかりから注意を逸らしてしまう。その目移りが意図的なものかどうかを判断する。もし意図的であれば、必要な情報が他の場所でも手に入るようにしておく。
文脈の欠如: 地域の風習や、以前のハンドアウトに書かれていた名前など、キャラクターがまだ遭遇していない情報に手がかりが依存している。その文脈を手がかり自体に含めるか、他に発見可能な情報源を通じて提示する。
これらは作業用の仮説であり、単体で診断を完結させるものではありません。それぞれを、プレイヤーが実際に発言したことや行動したことと比較してください。文言が待ち合わせ場所を明確に指していても、シーン内の他の出来事が目立ってグループが手がかりにまったく気づかなかった場合、名詞を1つ変更しても原因への対処にはならないかもしれません。
すべての細部ではなく「シグナル」を修正する
想定される原因に対処できる、最小限の変更にとどめましょう。「3つ目の鐘」が時刻として解釈されてしまった場合は、「その手紙には鐘楼の3つの刻み目が入った紋章が押されている」のように、場所との繋がりを明確にしてみます。もしパーティがそこで会合が開かれると推論する必要があるなら、「手紙の末尾には『前と同じく、3つ目の鐘の刻限に』とある」のように、別の詳細を添えてその印と集会を結びつけてもよいでしょう。前者の修正は場所を特定し、後者は時間の手がかりを追加しています。意図した結論に必要な要素だけを使ってください。
効果的な書き直しは通常、手がかりを残したのが誰か、どの詳細が重要か、あるいはそれが次のステップをどう示しているかという「1つの関係性」を明確にします。プレイヤーに推論の余地を残さないほど過剰な説明を付け加えるべきではありません。手がかりが登場するシーンの中で声に出して読んでみてください。重要な詳細に気づきやすいか、手持ちの情報でキャラクターが無理なく解釈できるか、そして世界観に馴染む表現になっているかを確認しましょう。
1つの手がかりが失敗しても冒険を破綻させない
進行のために必須の結論がある場合、たった1つの文が正確に読み解かれることに依存させてはいけません。同じ結論に至るための別個の道筋を用意しましょう。例えば、塔の紋章が押されたメモ、使者が階段を登っていくのを目撃したNPC、会合部屋の入り口が記された地図などです。「3つの手がかりのルール」では、1つの手がかりを見落としたり誤認したりしても進行が止まらないよう、1つの結論に対して少なくとも3つの手がかりを用意することを推奨しています(Node-Based Scenario Design Part 2)。これを設計上の補助として捉え、数値的な保証とは考えないでください。手がかりが同じ曖昧さを共有していたり、見つからないままだったり、予想外の解釈をされたりする可能性は依然としてあります。
それぞれの手がかりに意味のある違いを持たせましょう。「鐘が夕暮れ時に鳴る」という表現が3種類あっても、プレイヤーがその音と塔を結びつけられなければすべて失敗する恐れがあります。物理的な紋章、目撃者の証言、地図の目印は、それぞれ異なる情報に基づいています。また、各手がかりが「何を証明しているか」も区別してください。それらはすべて塔を指し示しているかもしれませんが、そこに誰がいるかまでは証明しないことで、パーティが調査を行い、次に何をすべきかを決める余白を残すことができます。
文脈の中で修正版を再テストする
修正した手がかりを、周囲のハンドアウトやNPCの台詞、その他の手がかりをそのまま残した状態で、新しいテストプレイやまっさらなシーンに投入します。プレイヤーがそれに気づくか、どういう意味だと考えるか、そしてどう行動するかを観察してください。あなたが説明した後に初めて意図した結論に達したとすれば、その手がかりは自力で機能することをまだ証明できていません。シーンの終了後、どのような詳細が解釈の決め手になったかを尋ねてみましょう。インタビューと観察では体験の異なる側面が明らかになることがあり、声に出して思考すること自体がパズルの解き方に影響を与える場合もあります(Playtesting 105: How to Measure Qualitatively)。
新しい結果を以前の結果と比較します。グループは意図した関連づけを行えたでしょうか? 修正によって意図せず多くの情報を明かしてしまったり、新たな誤った導線を提示してしまったりしていませんか? 別の誤解が生じた場合は、それがプレイヤーの次の選択に影響を与えるかどうかを判断してください。すべての異なる解釈を修正する必要はありません。必要な行動が見つけられる状態が保たれ、誤った推理によってシナリオが気づかないうちに詰んでしまわない限り、ミステリーや協力型のアドベンチャーは様々な推測を受け入れることができます。
簡潔な修正ログをつける
繰り返し発生する誤解ごとに、意図した結論、観察された解釈、想定される原因、テキストの変更内容、再テストで起きたことの簡潔なメモを残しておきましょう。これにより、後からの編集の評価が容易になり、単に言い回しが独特だからという理由だけで有用な手がかりが再修正されるのを防ぐことができます。わずかな修正を行っても同じ誤読が続く場合は、診断を見直してください。問題はシーンの文脈、手がかりの配置、あるいはプレイヤーに求められている結論そのものにあるのかもしれません。
わかりやすい手がかりとは、パーティの計画を指図するようなものではありません。プレイヤーが実行可能な結論を導き出し、他の手がかりと比較し、次に何をすべきかを選択できる程度に、重要な証拠を十分に読み取りやすくするものです。
参考資料
Node-Based Scenario Design Part 2: Inverting the Three Clue Rule — The Alexandrian.
Asking the Right Questions: Moderating a Great Usability Playtest — Game Developer.
Playtesting 105: How to Measure Qualitatively — Game Developer.
